2025年度第2回アカデミック・リンク/ALPSセミナーは、「大学教育・学修における生成 AI の利活用:法制度、リスクを踏まえて、今留意すべきこと」という題目で、生貝 直人 氏(一橋大学大学院法学研究科ビジネスロー専攻教授)を講師とし、開催されました。
最初に、著作権、個人情報・プライバシーの問題など、生成AIを利用する際に法律上考慮すべき事柄が概説されました。特に著作権に関しては、AI生成物の著作権侵害を考える上で重要となる、類似性と依拠性の考え方、権利制限の適用など、様々な観点から解説されました。
次に、各生成AIの利用規約の内容(禁止事項、商用利用の可否、AI生成物の権利帰属など)について、完全に把握することは困難でも傾向を知っておくことが望ましいとの指摘がありました。また、ハルシネーション、バイアス、偽・誤情報、ディープフェイク、肖像や声の保護といった論点に関して、AI利用者に求められるリテラシー及び問題に対処するための法的論点も交えた解説がなされました。また、2025年4月1日に施行された「情報流通プラットフォーム対処法」の内容も紹介されました。
最後に、今後のAI法制に向けた国内外の状況が概説されました。「AI法(AI Act)」でAIシステムによるリスクを4段階に分け、生成AI等の「汎用目的AIモデル」を規制するEU、連邦法と州法の二層構造の下で立法が進展中の米国、2025年5月28日に「AI推進法」が成立し、AI利用推進と安全対策の両立を目指す日本という三つの国・地域の現状が解説され、セミナーは締めくくられました。
(参照:ALPS履修証明プログラム)
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