授業の教材・配布資料として他人の著作物を使用する際には、著作権法の定めに従い、適切な方法で利用する必要があります。
このページでは、授業での著作物を利用する場合の基本ルールを説明した後、(1)授業目的公衆送信(メディア授業での著作物利用、授業録画の事後配信、予復習の資料配信)および、(2)対面授業・対面授業を同時配信する場合の著作物利用のそれぞれについて、授業で著作物を利用する際に従うべきルール・注意点を説明していきます。更に、基本的ルールを充たさない場合の授業での著作物利用についても説明します。
まず、どのような授業の実施形態(対面/オンラインなど)や著作物利用のタイミング(授業中/予習・復習など)であっても適用される基本的な著作物利用のルールを見ていきましょう。授業で他人の著作物を利用する場合は、これらのルールを全て満たす必要があります。
授業の履修者全員の購入を想定した著作物(問題集など)を購入させずに、複製・配布したり公衆送信を行ったりするなどの、著作権者の利益を不当に害するような場合については、別途許諾が必要となります(本ページ下部の「基本的ルールを充たさない場合の他人の著作物の利用について」参照)。
授業での著作物利用は、以下の3つの類型に分けることができます。
(ア)対面授業で使用する資料として著作物を印刷・配布する行為
(イ)対面授業で使用した資料や講義映像を遠隔合同授業等(同時中継)で他の会場に送信する行為
(ウ)上記以外の授業等の形態での著作物の公衆送信全て
このうち(ア)(イ)の類型に該当する授業での著作物利用については、(2)対面授業・対面授業を同時配信する場合の著作物利用 でより詳しく説明します。
(ウ)上記以外の授業等の形態での著作物の公衆送信全て には、例えば以下のような行為が含まれます。
(ウ)の場合の著作物利用については、(1)授業目的公衆送信 で詳しく説明します。
本制度を利用することで、著作権者から個別の許諾を得ることなしに、上記(ウ)に該当する以下のような行為を行うことができます。
(※1)教員と同じ部屋にも受講者がいる同時双方向型メディア授業(いわゆるハイブリッド授業)は、対面授業と同じ扱いになります。
(※2)対面授業の様子を別の場所に同時中継する場合は、対面授業と同じ扱いになります。
日本国内の著作物だけでなく、海外の著作物の公衆送信にも本制度は適用されます。また、教員から履修者への公衆送信だけでなく、履修者から教員・他の履修者への公衆送信(授業での発表資料を画面共有するなど)も本制度の範囲内です。
この「授業目的公衆送信」は、平成30(2018)年の著作権法改正により、各教育機関で補償金を支払うことによって、無許諾で行えるようになったものです(参考 授業目的公衆送信補償金制度の概要)。補償金の適正な分配のためのサンプル調査も行われています。授業目的公衆送信を行った著作物について、日頃から可能な範囲で記録を残すようにしてください(参考 サンプル調査について)。
(ア)対面授業で著作物を利用する 場合は、冒頭で紹介した基本ルールに従う必要があります。ここでは主に、(イ)対面授業を別の場所へオンライン同時配信する場合 の条件を説明していきます。
なお、対面授業の様子を録画して後日配信する場合は、(1)の「授業目的公衆送信」の対象となります。
(イ)対面授業を別の場所へオンライン同時配信する場合 の著作物利用に関しては、本ページ冒頭で紹介した基本ルールに加えて、下記の条件も満たす必要があります。
※ここでの「副会場」とは、授業が行われている教室以外の場所のことであり、自宅や病院等でも構いません。
参考:『学校における教育活動と著作権(令和5年度改定版)』(p. 3-6)
(1)「授業目的公衆送信」や、(2)対面授業・対面授業を同時配信する場合に求められる基本的ルールを充たすことができない場合でも,以下のいずれかに該当する場合は,他人の著作物の授業教材への利用が可能です。
授業を担当する教員自身が著作権者である著作物であれば、利用許諾手続なく利用できます。
以下に挙げた資料を利用する場合は、無許諾で他人の著作物等について利用できます。
引用の範囲内で、他人の著作物を利用できます。引用の条件(著作権法第32条)をすべて満たし,適切に引用する必要があります。
参考:『学校における教育活動と著作権(令和5年度改定版)』(p. 7)
著作権者から利用許諾を得た著作物については、授業で利用できます。
許諾を得る際は、可能な限り記録に残る方法で、またメディア授業で利用する場合は、「インターネットで配信する」ことを明示してください。
著作物の利用許諾手続は、著作権者との交渉の結果許諾が得られない、手続きに多くの日数を要する、許諾費用が発生するなどの場合があります。
授業の教材において他人の著作物を利用することが必要不可欠の場合には、作成前に利用許諾手続を終えてください。
参考:『大学学習資源における著作物の活用と著作権(令和5(2023)年度改訂版)』(p.5)
教職員向けメディア授業サイト上では、授業での著作物利用について、著作権法上の問題がないかを教員自身が確認できるよう、著作権セルフチェックリストを提供しています。ご活用ください。
著作権について(千葉大学メディア授業サイト(教職員))※閲覧時要ログイン
https://sites.google.com/public.gs.chiba-u.jp/faculty/copyright
授業で使用する教材を集めるにあたっては、附属図書館の所蔵資料・データベースや、学外からの文献取り寄せ(ILL)等もご利用ください。
文献取り寄せ(ILL)申し込み(※要My Libraryログイン)
平成30年(2018年)の著作権法第35条の改正により、これまでも無許諾・無償で行うことができた、
(ア)対面授業で使用する資料として著作物を印刷・配布する行為
(イ)対面授業で使用した資料や講義映像を遠隔合同授業等(同時中継)で他の会場に送信する行為
に加え、これまでは要許諾(権利者の設定する使用料を支払う必要あり)だった
(ウ)上記以外の授業等の形態での著作物の公衆送信全て
についても、教育機関の設置者(ここでは千葉大学)が補償金を指定管理団体に納めることで、無許諾で行えるようになりました(下図参照)。これが「授業目的公衆送信補償金制度」です。
文化庁「授業目的公衆送信補償金制度の概要」(2020.12)P.1より
授業目的公衆送信補償金制度は2020年4月に新型コロナウイルス感染症対策のための緊急措置として早期施行され、2020年度の1年間は特例措置として無償で著作物の公衆送信を実施できました。2021年度以降、本格的な運用が開始し、各教育機関の設置者における補償金の支払い義務が発生しています(補償金は大学全体の予算から支出しているため、この制度を授業で利用する各教員には支払い義務はありません)。
ここでの「公衆送信」とは、放送、有線放送、インターネット送信(サーバへ保存するなどしてインターネットを通じて送信できる状態にすること(送信可能化)を含む)その他の方法により、不特定の者または特定多数の者(公衆)に送信することをいいます。一般的に、授業における教員等と履修者等の間の送信は公衆送信に該当すると考えられます。
参考:『改正著作権法第35条運用指針(令和3(2021)年度版)』(P.5-6)
授業目的公衆送信補償金等管理協会(SARTRAS)は、授業目的公衆送信補償金制度の利用実態を把握し補償金を適正に分配するために、サンプル方式による調査を実施しています。
本学が調査対象に選ばれた場合に備え、本制度の適用を受けて授業で利用した著作物に関して、日頃から可能な範囲で記録を残していただくようお願いいたします。
サンプル調査では、全国から選ばれた教育機関(大学の場合は学部単位)を対象に、指定された1か月間に利用した著作物についてSARTRASへの報告が求められます。
サンプル調査の対象として選ばれた学部などには、附属図書館から事務担当を通じてご連絡します。調査の概要・調査フォーマットへの入力方法などについても、附属図書館からご説明します。
サンプル調査に関する参考情報:利用報告について|SARTRAS Webサイト
授業での著作物利用についてご不明の点は、以下の連絡先までお問い合せください。
附属図書館本館
Tel: 043-290-2263
Mail: fbe2262★office.chiba-u.jp
※「★」は「@」に置き換えてください。