公的資金による助成を受けた学術論文等(2025年度新規公募分より)の即時オープンアクセス(OA)義務化の基本方針が発表されました。具体的に研究者に求められていることは何か、千葉大学ではどういった対応ができるのか、また関連して役に立つ様々な情報をご紹介します。
このページでは「学術論文等の即時オープンアクセスの実現に向けた基本方針」を「基本方針」と呼びます。この項目では「基本方針」に関わる文書を時系列で紹介していきます。
「具体的方策」の改正版および「基本方針」についてのFAQ更新版が公開されました。
8月27日、28日に「基本方針」の実施にあたっての具体的方策に係るオンライン説明会が実施されます(両日同内容)。
この度作成された具体的方策の改正(案)について、内閣府科学技術・イノベーション推進事務局の担当者により説明がおこなわれるとのことです。
なお同一機関内からは極力まとまって参加するよう依頼がされています。 附属図書館では、8月27日の回を視聴する会を設けますので、千葉大学学内の方で本説明会にご関心のある方は、以下お問い合わせ先(リポジトリ担当)までご連絡ください(終了しました)。
「基本方針」についてのFAQ(2024年10月に更新あり)が公開されました。
「基本方針」についての説明および意見交換の場が設けられました。当日資料は以下からご覧いただけます。
「公的資金による学術論文等のオープンアクセスの実現に向けた基本的な考え方」を受けて以下の2点が公表されました。
「基本方針」とその実施にあたっての「具体的方策」(2024年10月に改正あり)を確認することができます。
「公的資金による学術論文等のオープンアクセスの実現に向けた基本的な考え方」
(総合科学技術・イノベーション会議有識者議員懇談会、2023年10月30日)
公的資金のうち2025年度から新たに公募を行う即時オープンアクセスの対象となる競争的研究費(→[A])を受給する者は、当該研究費による学術論文及び根拠データ(→[B])の学術雑誌への掲載後、即時に機関リポジトリ等の情報基盤(※)への掲載を義務づけられます。
(※)論文をオープンアクセス(OA)にする手段のうち、今回の基本方針で義務とされた機関リポジトリ等への掲載による公開は「グリーンOA」と呼ばれ、原則無料で行えます。ただし、出版元から、掲載できる学術論文のバージョン(原稿)や公開までの期間などの条件が課されることがあります。
電子ジャーナルに掲載された査読済みの研究論文(著者最終稿を含む)
掲載電子ジャーナルの執筆要領、出版規程等において、透明性や再現性確保の観点から必要とされ、公表が求められる研究データ
ここでは令和8(2026)年度科研費を例に確認してみます。ポイントは次の2点です。
(※)詳細は千葉大学の科研費ホームページ(学内専用)でご確認ください。
いいえ。全てではありません。今回のOAの対象は、以下 1.~3. をすべて満たすものです。
(※1)2025年度に研究費が交付されていても2024年度以前に公募されているものは対象外となります。
(※2)「著者最終稿」とは機関リポジトリ等からOAにする際の原稿のバージョンを指します。必ずしも出版社版(雑誌に掲載されたのと同じバージョン)である必要は無く、著者最終稿版も対応可という意味です。Q4も参考にしてください。
(※3)掲載先電子ジャーナルで公表が求められている、研究の根拠となるデータが対象です。査読の過程等で求められるデータ等、公表を前提としていないデータはOA対象外です。従来公開していなかった研究データを根拠データとして公開を新たに求めるものでもありません。
目安として学術雑誌への掲載後3か月程で機関リポジトリ等で公開とされています。ただし、エンバーゴ期間が定められている場合は除きます。詳しくはQ4をご覧ください。
掲載誌のポリシーによります。多くの場合はエンバーゴ期間が定められており、その期間が終了するまでは機関リポジトリを含む他のプラットフォームからの公開はできません。ただし、著者最終稿であれば雑誌掲載後でもすぐに機関リポジトリで公開できることがあります。
以下のサイトから、ジャーナル名で検索するとポリシーを確認できます。
(海外雑誌)Open Policy Finder
(国内雑誌)SCPJ Search
また、「"雑誌名", Open access policy」「"雑誌名", Green OA」のように検索するとヒットすることがあります。
エンバーゴがある場合も、公開日を設定して機関リポジトリから登録のみ行うことは可能です。
いいえ。今回の基本方針で義務化されているのは機関リポジトリ等によるOAになります。機関リポジトリからのOAは原則無料です。
掲載誌のポリシー(エンバーゴなど)により即時OAが難しい場合、各年度の実績報告の際に、当該学術論文及び根拠データの即時オープンアクセスの実施が困難な理由を記入することで対応となります。詳しくはQ8をご覧ください。困難な理由が解消された場合は、速やかに機関リポジトリ等の情報基盤への掲載登録・公開を行うものとされています。
いいえ。機関リポジトリで改めて公開する必要はありません。実績報告に学術論文及び根拠データの識別子(DOI)を記載することで対応できます。
できます。千葉大学で機関リポジトリから論文や研究データをオープンアクセスにするをご覧ください。
はい。実績報告に、新たに入力項目が設けられる予定です。「具体的方策」によると以下の通りです。
即時オープンアクセスの実施の有無に関して報告する項目
個々の学術論文及び根拠データごとに以下の情報を記載(新規のみ抜粋)。
即時オープンアクセスが実施無しの場合、その理由を報告する項目
※ 即時オープンアクセスが困難な理由(複数選択可能):
a. 出版社や雑誌のポリシーでエンバーゴの規定が存在
b. 出版社や雑誌のポリシーが存在しない又は不明瞭
c. 既存の研究費を圧迫しない範囲での転換契約や APC 支払いの活用が困難
d. その他(自由記述)
いいえ。今回の基本方針では、機関リポジトリ等から、出版社版又は著者最終稿に該当するバージョンを機関リポジトリ等でオープンにすることが求められています。
このため例えばプレプリントをarXivのようなプレプリントサーバからオープンにしていても、今回の基本方針を満たすことにはなりません。
いいえ。今回の基本方針では、対象の論文や研究データがCiNii Researchで検索できるようになることが求められています。研究者個人のWebサイトではこの要件を満たしません。機関リポジトリCURATORは検索対象となっていますので公開場所として利用いただけます。分野別リポジトリなど、 機関リポジトリ以外のプラットフォームで公開し、CiNii Researchで検索可能な状態になれば、今回の基本方針に対応したことになります。
本学では千葉大学学術成果リポジトリ(CURATOR)という機関リポジトリを運用しています。ここで、学術論文や研究データを登録して公開できます。
千葉大学に所属する研究者の皆様は、今回の「基本方針」で求められている「グリーンOA」での公開が可能です。
以下の手順で公開できます。詳しい登録チャート、マニュアルは学術論文や研究データ等を公開する(セルフアーカイブ、グリーンOA)をご確認ください。
(1)CURATORマイページにログイン(千葉大学の教職員番号と統合認証システムのパスワードでログインできます)
(2)登録する論文等の情報を検索し、メタデータ(論文のタイトルなど)を流用入力
(3)論文等のファイルをアップロード、図書館に公開依頼
(4)図書館でデータを確認し、公開
機関リポジトリCURATORのセルフアーカイブ(=研究者自身で論文を登録する)管理画面が新しくなりました(2025/3/12)。
今後もブラッシュアップを進めていきます。マイページへのログインはこちらから。
文部科学省による「オープンアクセス加速化事業」に千葉大学が採択されました(参考)。この事業は、オープンアクセスに係る全学的なビジョンに基づく事業計画等を策定している大学等を対象として、学術論文等の即時オープンアクセスの実現に向けた体制整備・システム改革を加速させることを目的としています。
本学においては、機関リポジトリの機能強化、研究データ保存・利活用プラットフォームの整備、オープンアクセス加速化のための学内環境整備等を、附属図書館、IMO、CUDTEC協働で進めていきます。
原則無料です。前出のとおり、今回の「基本方針」で義務とされているのは「グリーンOA」であるためです。
なお論文掲載料(APC)を支払って学術雑誌に掲載する論文をオープンアクセス出版することは、「ゴールドOA」と呼ばれています。
「ゴールドOA」については、本学では論文掲載料(APC)の支援や割引の制度もあります。
詳しくは、論文掲載料(APC)に関する案内のページをご覧ください。
科研費報告書に関する情報は学内限定の科研費ホームページに記載があります。
こちらのページでも参考資料として「科研費説明会資料 抜粋版(研究データ・利活用について)」が案内されていますが、2025年度に提出する科研費の実施状況報告書や実績報告書において、研究データの情報を報告する項目が追加されました。
(参考)令和7(2025)年度の科学研究費助成事業(科研費)の変更点等について
以下のページで報告対象となる研究データや具体的な記入例について解説しています。
千葉大学アカデミック・リンク・センター/附属図書館では、研究支援ポータルEncourage YOUR Research Journey!(EYRJ!)において、研究成果をOAにする意義やその具体的方法、関連情報を大学院生向けに解説した記事を公開しています。ぜひご覧ください。
附属図書館 リポジトリ担当
Mail: ir★office.chiba-u.jp
(転換契約のみ)雑誌担当
Mail: lib-article★chiba-u.jp
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