2024年度第3回アカデミック・リンク/ALPSセミナーは、「障がいのある学生への修学支援を改めて考える:体制整備、連携、支援の取組と諸課題」という題目で、京都大学の村田淳氏を講師とし、開催されました。
まずは、障害の個人モデルと社会モデルについて整理した上で、日本が2014年に批准した「障害者権利条約」(国連)に、「合理的配慮の提供」を確保することについて明記されていることが説明されました。また、「合理的配慮」は "reasonable accommodation" の訳語であり、障がいのある個人への支援ではなく、その個人を取り巻く社会的障壁を必要かつ適当な範囲で変更・調整することを指していると解説されました。
続いて、高等教育現場における障がいのある学生数の推移や、政府の「障害者基本計画」、「障害のある学生の修学支援に関する検討会」のまとめ内容など、基本情報の概説が行われました。その中で、高等教育機関において、個々のニーズに応じた合理的配慮に先立って、体制整備や施設・ソフト面の整備等を行う「事前的改善措置」も求められていることが説明されました。また、合理的配慮と教育的配慮の関係、合理的配慮の提供にあたって考慮すべき事柄、どこまでの措置が求められるか、および配慮内容の決定手順などについても詳しく解説されました。
まとめとして、合理的配慮が特別なものだった時代から、当たり前のことに変化しつつあり、着実な取り組みが求められていると述べられ、セミナーは締めくくられました。
学生の抱える困難の理解と支援 (参照:ALPS履修証明プログラム)
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