2024年度第2回アカデミック・リンク/ALPSセミナーは、「教学系職員の専門性をどのように高めるか:学校法人立命館の取り組み」という題目で、立命館大学の各務宇春氏と、立命館アジア太平洋大学の成瀬絵里佳氏を講師とし、開催されました。
各務氏からは、立命館における教学系職員の専門性向上の取り組みについて、概要をお話しいただきました。
まず、立命館では現在、「学園ビジョンR2030」の下で、専任職員の役割転換(事務から政策的・創発的業務へ)、総合性と専門性を併せ持つ「T型人材」の育成、個々の職員の成長を支援する「キャリア形成制度」の導入などが推進されていることが説明されました。そして教学部においても、職員が週5日のうち1日を能力開発・全学的なプロジェクト等に充てる「20%ルール」が導入されたことなどが紹介されました。
続いて、立命館教学部での具体的な人材育成の取り組みについて、教学部が高度化すべき10の機能・職能の定義づけ・職能別のルーブリック策定を通じて、職能別スペシャル・スキルの可視化を行ったこと、その上で全員を対象としたジェネラル・スキル研修と、特定の職務・職能に関するスペシャル・スキル研修を組み合わせて実施していることが解説されました。
成瀬氏には、2023年度に始まった職能別初任者研修のコーディネーターとしての立場から、研修の実態や今後の展望についてお話しいただきました。
まず、前述のルーブリック策定時の目標は、職員が自分の力量を確認できるようにすることだったと述べられました。また、シラバス作成にあたっては、ルーブリックとの対応関係を確認すると同時に、各トピックの適切な配置にも配慮したことが説明されました。
23年度の初任者研修は概ね好評だった一方、2年目以降に向けて、内容面・実施形態面で様々な課題が明らかになり、対応を進めていることが述べられました。また、研修を持続可能なものとするために、コーディネーターの育成や目的の共有が重要であることが指摘されました。
まとめとして、各務氏からは、教学系職員が体系的な学びを通じて専門性を身に付ける必要性と、全構成員が専門性向上に取り組む努力と仕組み・組織風土づくりの重要性が述べられました。また、成瀬氏からは、研修を業務説明会として終わらせず、各職員のポテンシャルを最大化し、その強みを活かせる組織づくりを進める重要性と、職員自らが研修を行う意義が述べられ、セミナーは締めくくられました。
高等教育をめぐる政策動向 (参照:ALPS履修証明プログラム)
セミナーのアンケート結果はこちらからご覧になれます。アンケート