2023年度第3回アカデミック・リンク/ALPSセミナーは、「マイクロクレデンシャルと質保証」という題目で、大学改革支援・学位授与機構の野田文香氏を講師とし、開催されました。
セミナーではまず、マイクロクレデンシャル(以下、「MC」)について、1)MCが伝統的な学位・資格(マクロクレデンシャル)の対概念であり、特定の知識・スキルに焦点を当てた短期間学習の成果に対する証明書であること、2)リスキリング・アップスキリングの観点などからMCが近年注目されていること、3)MCには達成状況の評価(アセスメント)が重要であることなどが説明されました。加えて、欧州・オセアニア・米国など各地域での提供状況や活用状況などが紹介されました。
次に、UNESCOの規約とMCの質保証についての解説が行われました。グローバル化により、国を超えて進学・就職を希望する学生や研究者の高等教育資格の受入国での承認・評定が問題となっています。このような課題を解決するためにUNESCOは各種の規約を締結しています。これらの規約では、正規教育外の多様で細分化された学びも評価するという姿勢を取っており、日本の高等教育機関などは、規約に基づき外国の高等教育資格の承認について決定を行う責務を負っています。またMCの質保証に関しては、MC用の質保証メソッドを開発した例、MCや研修受講歴などの既修得学習を承認して入学審査などで活用している例が紹介されました。
続いて、日本におけるMCの課題について論じられました。日本国内でも高等教育機関によるMCが提供されている一方、正規教育以外の学習を大学の単位としてどの程度まで認めるか、その質保証をどのように行うかという課題が存在することが指摘されました。加えて、MCなどの質・レベルを説明する教育資格枠組みの整備が進んでいないために、日本の教育資格が海外への進学・就職時に正当に評価されないという問題が発生しており、早急にその解決に取り組む必要があることが述べられました。
最後に今後の展望として、大学がMCを提供する場合・自大学外のMCを受け入れる場合それぞれの課題とどのようにそれに対応していくかに関する提言があり、セミナーは締めくくられました。
教育プログラムの設計と評価 (参照:ALPS履修証明プログラム)
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