2023年度第1回アカデミック・リンク/ALPSセミナーは、「教育・学修支援の視点から大学設置基準改正を考える」という題目で、文部科学省高等教育局視学官(併)大学教育・入試課課長補佐の中村真太郎氏を講師とし、開催されました。
セミナーでは、令和4年度大学設置基準改正について、「グランドデザイン答申等」「大学設置基準等の改正」「今後の教職協働の在り方」をポイントに説明されました。
まず、「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン(答申)」で学修者本位の教育への転換の必要性が提示されたこと、今回の大学設置基準等の改正は、いわゆる「三つのポリシー」に基づく「学位プログラム」の編成と、それを基礎とした「内部質保証」による、教育研究活動の不断の見直しの考え方を根幹としていることが説明され、続けて改正の具体的内容がいくつか取り上げられました。例えば、「専任教員」の概念を「基幹教員」と改めることについて、これまでの設置認可審査における専任教員の考え方等に基づきながら、大学の各学位プログラムに責任を持つ教員として定義を明確化するものであることが説明されました。また、「指導補助者」については、当該大学の学生その他大学が定めるものに授業を補助させられる旨などを確認的に規定し、それらのものに対しては研修を実施することを新たに義務づける改正により、学生への支援の充実や、教育の質向上が一層期待されることが説明されました。
改正内容のうち、今後の教職協働を考えるうえで鍵となる「教員組織・事務組織等の組織関係規定の再整理」は特に詳しく説明されました。この改正の目的は、大学の組織機能の明確化や教員と事務職員等相互の役割分担、協働、責任の明確化等であり、改正によって教員と事務職員等の関係が一体的に規定され、教職協働の実質化促進につながることで、より一層の教育研究活動の質向上が期待されることが述べられました。現在の教職協働について、職員が果たすことのできる役割は様々あり、一例として学修支援(学生相談、学修の学外活動への引率、教育活動の改善提案など)が挙げられます。また、学生支援に関する業務等が教職協働により実施されている大学数は8割を超えていると示され、職員の活躍や、教職協働が活発であることが伺えます。ただ、教員と職員間で教職協働に対する認識が異なる部分があるとも指摘され、今回の改正による実質化促進が望まれます。
最後に、今後の大学運営への期待が、教職協働の推進や、教育・研究・運営を担う高度専門職人材の活躍、事務職員の活躍促進といった観点から述べられ、セミナーは締めくくられました。
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