障がいのある学生への学修支援のあり方を考える

障がいのある学生への学修支援のあり方を考える

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概要

2019年度第3回アカデミック・リンク/ALPSセミナーは、「障がいのある学生への学修支援のあり方を考える」という題目にて、京都大学学生総合支援センター障害学生支援ルームチーフコーディネーター・准教授の村田淳氏、専修大学文学部ジャーナリズム学科教授の野口武悟氏をお招きし、開催致しました。

村田氏の講演では、はじめに、障害の現在について説明がなされました。障害には個人的なもの(身体障害や知的障害など)と社会的なもの(障害者にとって日常生活を営むうえで障壁となるような事物など)の二種類があり、合理的配慮は社会的障害の除去に資するものであることが説明されました。「合理的配慮」の原文はreasonable accommodationであり、教育という権利が達成されるために必要かつ適当な、全体的な変更及び調整がなされることを指すと説明されました。

続いて、大学における障害学生支援と障害者差別解消法について説明がなされました。日本の大学における障がいのある学生は増加しており、合理的配慮を提供するための一定の水準を担保できる仕組みの構築が必要であると述べられました。また、合理的配慮内容の構成要素の一つとして、「本来業務付随」を挙げ、大学が本来やっている業務内であれば合理的配慮が必要であることが指摘され、更に、合理的配慮の内容の決定に至るには双方向の建設的対話が欠かせないことも説明されました。また、2016年4月に施行された障害者差別解消法では、私立大学等においては合理的配慮が「努力義務」となっているが、実質的には「義務」であり、合理的配慮は高等教育機関全体として必要な取り組みであることが指摘されました。最後に、合理的配慮の提供に関するポイントが述べられ、ニーズを把握するタイミングはいくつかあるため、配慮が後手にまわらないよう、早めの対応が必要であることが述べられました。

野口氏の講演では、はじめに、「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」(いわゆる「読書バリアフリー法」)が2019年6月に成立・施行したことが紹介されました。ポイントとして、対象が視覚障害者「等」であり、発達障害や肢体不自由等の人も含まれること、アクセシブルな電子書籍等の幅広い提供が理念とされていることが挙げられました。また、基本的施策のうち、特に大学図書館にかかわる点として、視覚障害者等の図書館利用に係る体制整備や、特定書籍・特定電子書籍等の製作の支援が紹介されました。

続いて、障害学生の状況とニーズについて説明がなされました。発達障害の一つとして限局性学習症(SLD)という特性があり、この群の特徴にディスレクシア(読み書き困難)があります。こうした学生への合理的配慮として、さまざまな情報支援機器の導入や、アクセシブルな資料・情報資源の収集、提供が考えられますが、その前提として、職員への研修や既存施設のバリアフリー化の推進といった基礎的な環境整備が重要であることが指摘されました。また、図書館として求められる主なサービスとして媒体変換があり、主には電子データ化、ニーズに応じて点字データ化や音声データ化などもあることが説明されました。最後に、大学図書館としては、学内の障害学生支援部局・組織や学生と協力すること、また、大学図書館同士だけでなく、地域の公立図書館や点字図書館とも協力していくことで、障害学生支援の一翼を担うことができるというまとめで締めくくられました。

アンケート結果

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