2021年度第2回アカデミック・リンク/ALPSセミナーは、「コロナ禍における障がいのある学生への学修支援」という題目で、岡山大学全学教育・学生支援機構 高大接続・学生支援センター准教授である、池谷航介氏を講師として開催いたしました。
はじめに、合理的配慮においては、その提供に向けた、あるいは提供後の、学生との対話が本質であることが説明されました。例えば、授業において通常のコースのほかに、特別(バイパス)コース等の選択肢を設けるとしても、大学側がそちらに誘導するのではなく、本人の意思を確認し、学生自身が選択できること、そして、希望すれば通常コースを受講できること、また、そのための様々な環境の整備や調整が必要であると述べられました。
続いて、コロナ禍における支援について、説明されました。コロナ禍においては、「臨機応変さ」がいつにも増して求められますが、ASD傾向やADHD傾向がある学生の場合、日常が揺らぐことに苦手さがあること、その結果、「最初のつまずき」自体は軽微なことであっても、未処理の課題が積算していき、周囲の信頼を失していくという2次障がいに至ることがあると説明されました。これに対しては、2次障がいに至る前の教職員の気づきが大きな支えとなると述べられました。
また、日常的に「あったもの」が「ない」、そのことに自分では気づいていない状態は、「一般的な」学生にも影響があることが説明されました。具体的には、社会的参照視の決定的な不足、例えば、オンラインで授業に参加していることで、他の学生の様子が全く見えないことによる情報不足が生じると指摘されました。
障がい学生が大学での活動への参加機会を失することは、すべての学生が、多様性とは何かを知る、広い意味での学習機会を失うことでもあり、合理的配慮の本質をふまえた適切支援が求められること、コロナ禍の現在では、「一般的な」学生も困難を抱えることとなっており、より多様な支援が必要となっていることが説明されました。
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