• アカデミック・リンク・セミナー

アカデミック・リンク・セミナー

「ICTを活用した教育はどのような成果をもたらすか―早稲田大学大学総合研究センターの取り組みを踏まえて―」
ポスター(pdfで開きます)

開催日時・場所

  • 2019年9月4日 (水) 14:30-16:00
  • 千葉大学アカデミック・リンク・センターI棟1階 コンテンツスタジオ「ひかり」

講師

  • 森田 裕介 氏 (早稲田大学人間科学学術院 准教授・大学総合研究センター副所長)

概要

 2019年度第2回アカデミック・リンク/ALPSセミナーは、「ICTを活用した教育はどのような成果をもたらすか―早稲田大学大学総合研究センターの取り組みを踏まえて―」という題目にて、早稲田大学人間科学学術院准教授・大学総合研究センター副所長の森田裕介氏をお招きし、開催致しました。

 本セミナーは、講演に先立ち、参加者がウェブクリッカーを使用して教育におけるICT活用を実際に体験することから始められました。講演は、高等教育におけるICT活用の意義、ICT活用による教育上の成果といった内容に関して、早稲田大学大学総合研究センターの取り組み事例を踏まえて構成されたものであり、オンライン講座のデモンストレーションも交えながら、行われました。

 はじめに、本講演では、デジタルネイティブと呼ばれる世代が学生となっている中で、Society5.0に向けた高大接続が進められており、個別最適化された学びへの移行、基盤的な学力や情報活用能力の習得、大学等における文理分断からの脱却が求められていると論じられました。

 つづいて、早稲田大学での取り組みに関して、同大学ではWASEDA VISION 150が策定され、教学戦略の一つとして、講義型の授業から「対話型、問題発見・解決型教育」へ重点を移し、さらには、学生の学修時間を海外大学並みに増加させることを目指しているとの説明が行われました。対面授業で確保できる時間は限られていることから、同大学では、オンラインで学習コンテンツを提供し、学生が自学自習をした後、授業に出席してディスカッション等を行うブレンディッドラーニングを進めています。

 また、早稲田大学の通信教育課程eスクールやブレンディッドラーニングの事例から、ICT活用による教育上の効果に関して、ブレンディッドラーニングには学習能力に合わせた課題・コンテンツの提示といった個別化する学習支援を可能にするという効果があると論じられました。

 一方、高等教育におけるICT活用の課題については、教員がICTを活用する際にどのように向き合うかという点が課題であり、社会が変化している中で、教員は自分が受けてきた教育に依存しているため、自分が受けた「教育の再生産」から脱却することが求められると論じられました。

 最後に、ICTを活用した教育の成果に関して、学習者中心の対話型の授業を行うための時間を確保し、対面授業でしかできないことを中心に授業を進めていくことを可能にした点が、その成果であると論じられ、本講演は締めくくられました。

アンケート結果