学会発表に向けて準備する

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電球アイコンこのページでわかること

  1. 発表申し込みの準備
  2. 発表する前の準備
  3. 発表当日について
  4. 発表が終わったらすべきこと

発表申し込みの準備

自分の専攻分野や指導教員の指示等により、どの学会で発表すべきかはおのずと絞られてきます。学会の目星がついたら、発表のための条件や発表の方法を確認しましょう。学会によっては、会員でなければ発表できないことがあります。入会の手続きに時間がかかることもあるので、非会員の場合は早めに確認しましょう。

また、主な発表の形式には口頭発表やポスター発表(ポスターセッション)があり、手法もいくつかあります(レジュメを配布する、プレゼンテーションソフトを用いる、口頭のみで発表する等)。指定がある場合はそれに従いましょう。

申込みの際に、要旨(抄録やabstractと言ったりもします)の提出が求められます。これは、発表全体の見取り図であり、一読してこの発表で何が言いたいのかわかることが理想です。要旨に書くべき項目は、指定がある場合はそれを網羅し、研究の問いと目的、手法、結論といった点をおさえて必要十分な内容を書けるようにしましょう。

要旨の具体的な書き方を確認するには、学会の過去の要旨集を参照する、先輩や指導教員に聞いてみる(添削指導を受ける)といったことをおすすめします。

要旨を書く時の心構え

理想は、要旨を書く段階でその研究の最終的な結論が出ていることです。しかし、発表の何か月も前に発表申込が必要な場合もあり、まだ決定的な結論が出ていないこともあるでしょう。この場合、要旨には、手持ちのデータを根拠に、間違いなく言えるところまでを書くということになります。事実と異なる内容や、自分の理想を書くのは避けましょう。

また、要旨提出の時点で発表タイトルも決めておく必要があります。タイトルは非常に重要ですが、これもまた結果が出てみないと的確につけることは難しいものです。この点からも、要旨提出の時点で、完全な結論が出ていなくとも、ある程度は見通しがたっていることが求められます。

発表する前の準備

発表のための資料を作成する

発表の形式が決まっていればそれに従って資料を作成しましょう。質疑応答を含めた持ち時間を確認し、それを超えないように内容をまとめることが必要です。詰め込みすぎると焦って早口になったり時間をオーバーするもとなので、慣れないうちは若干時間の余裕がもてるような分量にするのがよいでしょう。

また、例えば口頭発表で進行役となる座長がいる場合、前日までに配布資料を送るのがマナーとされることもあります。こうした作法は研究室の先輩や指導教員に確認しておくとよいでしょう。

発表の練習をする

本番前に、少なくとも一度は誰かに発表を聞いてもらい、引っかかる個所があれば指摘してもらいましょう。ある程度当該分野のことを理解していて、自分の研究が初見の人に聞いてもらうのが理想です。

発表の際に、学内での発表、例えば卒論や修論の進行状況などを発表する場合と、学会で発表する場合では、聞き手が違うことを意識しましょう。つまり、学内発表の範囲であれば当然共有されている内容であっても、初見の人には説明が必要な部分もあるということに気を付けましょう。ただしあまりにも当たり前の知識の共有は必要ありません。寧ろ、これにより発表が冗長になり、時間も足りなくなる恐れがあります。あくまでも、説明する上で必要な内容にとどめましょう。

何回か練習し、ブラッシュアップした内容を本番で発表できるのがベターです。

発表の当日

発表の際に注意すべきポイントとして、1. 発表時間、2. 質疑応答に関するものがあります。

1. 発表時間

発表時間と質疑応答の時間配分は厳密に指定されている場合と、そうでない場合があります。後者の場合、あまり早く終わってしまうと質疑応答が長くなってしまいますが、オーバーすると十分な議論ができなくなってしまうので時間を守りましょう。

発表スピードについても注意しましょう。学会発表は慣れ具合にもよりますが、緊張で早口になりがちです。あくまでも聞かせる相手がいることを意識して、適切なスピードで発表できるようにしましょう。もちろん、それに合わせて分量も調整する必要があります。また、原稿の文字数が指定されていない場合は、読まなくても支障がない部分を端折って時間内に終わるように調整することも必要になるかもしれません。

2. 質疑応答

質疑の際は質問者の問いを意識して適宜メモなどを取り議論を追えるようにしましょう。慣れていないと質問の内容がわからず、適切な応答ができないことがあります。ここで重要なのは、議論を適切に展開することなので、もし質問の意図がわからなかった場合、もう少し詳しい説明を相手に求めることも必要になるでしょう。これは決して自分の力量が劣っているわけではなく、議論を展開する上で重要なプロセスなので、遠慮せずに聞きましょう(もちろんずっと聞きっぱなしというのはやめましょう)。

また、時折自分が展開している議論とは関係のない質問がなされることもあります。そのようなときは、ある程度自分の見解を述べた上で「今後の課題にします」などで収めるようにしましょう(司会の方がいる場合は、議論を仲裁してくれることもあります)。

また、事前にどんな質問がくるかを予想し、それに対する答えを箇条書きにしたものを作成しておくのもよいでしょう。特に国際学会では、英語でのやりとりとなるので、予め英語である程度文章を作っておくと安心です。また、英語で上手く説明しきれないなと思う内容でも、予備スライドを準備しておくことでかなり対応できることがあります。大変ですが、色々なケースを想定してできるだけ準備をしておくことで、自分の自信と安心につながり、良い発表につながると思われます。

その他

発表当日に臨んで、気を付けるべき点をいくつか紹介します。

まず、服装は基本的にはフォーマルな格好で参加するのがベターです。詳しくは学会に参加するの記事も参照してください。

次に、発表会場には時間に余裕を持って到着するようにしましょう。初めての場所だと迷いがちですし、交通機関の思わぬトラブルが発生したりする可能性もあります。

また、発表に関することでいうと、まず配布資料ですが、前もって学会事務局に提出しておき、印刷しておいてもらえる場合と、自身で印刷して持ちこむべき場合があります。特に指示がなければ、自分で用意する場合が多いです。ただし、学会によっては発表時に資料を持参することはなく、事前に論文形式の予稿を集めて製本して出版する場合もあります。加えて、自分のPCでプレゼンテーションをおこなう場合、PCと会場のプロジェクタの接続(コネクタの形状)を確認しておく必要があります。また、発表者ツールを使う場合は、予め動作確認をしておきましょう(特にオンラインでの発表時は気を付けましょう)。

これらの点は基本的ではありますが、意外に見落としやすいです。当日は発表だけに集中できるよう、必要な準備をしっかり整えておきましょう。

発表が終わったら

学会発表後には、かならず質疑応答で出た問題や質問を振り返る時間を作りましょう。これにより、発表原稿を投稿する際の修正点が確認できますし、今後の研究に何が必要かを確認することもできます。

また、学会で発表した内容を論文投稿する場合、その準備も、記憶が新しいうちに早めに始めましょう。なお、発表しなくても投稿ができる研究論文というものもあります。報告論文や研究論文は投稿規定をよく確認してから投稿するようにしましょう。

参考文献

宮田洋輔ほか(2017)「研究集会における学会発表の形式とアクセス」,『日本図書館情報学会誌』,第63巻2号,pp.109-118

この記事は千葉大学の大学院生(分野別学習相談担当:ALSA-LS)が執筆し、アカデミック・リンク・センターの教職員が監修しました。

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