履修計画を立てる

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電球アイコンこのページでわかること

  1. 履修計画を立てる上で考慮すること
  2. 履修計画の具体例

はじめに

そもそも、なぜ履修計画を立てる必要があるのでしょうか。

博士前期課程でも後期課程でも、課程を修了するためには、定められた単位数を取得しなければなりません。修了に必要な単位数や、その取得方法は分野によって異なります。大学院入学時に配布される「履修要項」に、詳しくは掲載されていますが、例えば、分野によっては、博士論文を提出する前の「論文提出資格の確認」の時点で、必要単位を全て揃えていなければならないこともありますので、予め把握しておかないと困ることになります。

また、研究や就職活動等が忙しく、思うように授業を履修できない期間もあるでしょう。忙しくなりそうな時期の見通しもたてておくことが大切です。

そのため、自分がいつ、どのような科目を履修する必要があるか、前もって把握し、計画を立てておくことは大変重要となります。

履修計画を立てる上で考慮する点

主に次の2点が挙げられます。1点目は「単位取得の方法」、2点目は「研究計画やキャリアプランとの関連」です。

1. 単位の取得方法

学部の時と異なり、講義やゼミだけでなく、フィールドワークやインターンシップ、学会報告や学術雑誌への論文掲載によって単位が認められる場合があります。どういった条件で単位が認定されるのかを確認しておきましょう。必要な科目を履修できなかったということにならないように、履修要項を基本に、大学からのお知らせもこまめに確認するなど、日ごろから情報収集をしておくことが大切です。

2. 研究計画やキャリアプランとの関係

2-1. 博士前期課程

博士前期課程では原則2年間の間に、研究を進めて修士論文を執筆し、提出しなければなりません。その期限をふまえた計画を立てることが基本となります。

それに加えて、修了後の進路も視野に入れる必要があります。例えば就職を希望する場合は、就職活動にむけた準備期間を考慮すべきですし、教員等の資格取得を希望する場合は、その要件と必要な科目を確認し、計画に組み込んでいくことになります。

博士後期課程への進学を希望する場合、進学先によっては、千葉大学での修士論文提出期限より前に、博士後期課程で取り組む研究の研究計画書の提出や論文提出が求められる場合もあります。このため、進学を希望する場合は、博士前期課程入学直後から、出願期間や必要書類の確認、大学院説明会への参加等により情報収集をしておき、漏れが無いようにしておきましょう。

2-2. 博士後期課程

博士後期課程では、学位論文提出前の資格審査の段階で、必要単位を全て取得していなければなりません。専攻によっては、学会・研究会での報告や、学術雑誌への論文掲載が単位認定要件となっていることもあります。学会報告や論文審査は時間がかかりますので、博士論文提出期から逆算して、スケジュールを立てておく必要があります。

また、専攻によっては、国内外での長期の調査活動や、海外留学を行う場合もあるでしょう。長期に大学を離れる場合、授業に出席して単位を取得することは難しくなります。そのため、海外留学や長期フィールドワークを行うことも見込んだ計画が必要です。

履修計画の具体例

それでは、具体的にはどうやって計画を立てればよいのでしょうか。おさえるべき点はいくつかありますが、例えば、

といったことが挙げられます。以下は千葉大生が実際に立てた履修計画の例です。自分が計画を立てる際の参考にしてみましょう。

あくまで一例ですので、実際には自分で考えたうえで、指導教員とも適宜相談しつつ計画をたてるようにしましょう。

文系(歴史学専攻 2016年度入学 人文社会科学研究科)の学生の場合

私は履修科目を決める際、修士論文の執筆スケジュールを考えて、そこから履修計画を立て始めました。歴史学の分野で修士論文を書く場合、史資料の収集や読解に時間がかかります。私が博士前期課程に在籍していた時は、修士論文の提出締切は12月25日でした。そこから逆算して、9月頃には論文を書き始めるという目標をたてました。そのため2年目の4ターム以降は、修士論文執筆に集中するため、授業を取らなくて済むように履修計画を立てました。

また、修士論文執筆とは別に、就職活動や公務員試験に向けた準備や、博士後期課程入学試験の準備(語学試験が課される場合もあります)も必要になります。そのため私の周囲では、課程修了に必要な単位は1年目で取り切ってしまう人が多かったです。

当時の時間割を思い返してみると、1年目は前期で7コマほど、2年目は後期は5コマほど授業を履修していました。ほとんどがゼミ(演習)形式の科目だったので、1年目は予習や報告の準備で本当に忙しかったです。履修した科目は、歴史学系が多かったのですが、社会学や国際政治の科目も履修しました。

また、同じ歴史学でも、異なる地域・時代を扱うゼミにも参加していました。そこでの議論や、自身の研究報告に対するコメントから、研究のヒントを得ることができました。このため、専門以外でも気になる科目があれば、シラバスの「受講対象」や「履修要件」を確認したうえで、一度、担当教員に受講を希望する理由を伝え、受講可否を相談してみると良いと思います。

なお、2年目は、特別研究などの必須の科目のみ履修し、指導教員のゼミにだけ出席していました。単位を取り終わっても指導教員のゼミに出席して、そこで研究の進捗状況を報告し、アドバイスをもらうことは重要だと考えています。

理系(環境園芸学専攻 2021年度入学 園芸学研究科)の学生の場合

私は履修計画を立てる際、博士前期課程1年目にほとんどの授業の履修を終えられるようにすることを考えました。これは2年目の秋以降の修論執筆に時間を要するからです。履修する科目の決め方ですが、私の場合、必修に加えて、自分が興味のある授業を取るようにしました。大学院の授業では学外から講師を招いて最新の研究成果を集中授業で学習する機会もあります。先生が「あ、これ実は今日Nature誌に出る内容なんですけどね」なんて言う場面もありました。また、博士後期課程向けの授業を、博士前期課程の学生にも開講する案内が急遽届いたこともありました。4月に既に履修計画を組んでいるため取るとしたら余剰単位覚悟ですが、そうした貴重な機会を逃さず、積極的に履修してみましょう。

1年目は自分の実験に加え、授業のレポート、ゼミ、インターンと、色々とやるべきことがあり、なかなか大変な時期となりますが、何よりも大切なのは自己管理だと思います。自分を律して、与えられた仕事を少しずつであっても着実にこなしたり、新たに得られた知見から実験を計画して遂行するといった取組みをおこなっていれば、1年はあっという間に終わります。とはいえ遊ぶ時間も少しはあるので、息抜きもしつつ頑張りましょう。

参考文献

この記事は千葉大学の大学院生(分野別学習相談担当:ALSA-LS)が執筆し、アカデミック・リンク・センターの教職員が監修しました。

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