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文献を引用する

公開日

電球アイコンこのページでわかること

  1. なぜ引用が必要なのか
  2. 引用のルールは何のためにあるのか
  3. 適切な引用であるために注意すること

はじめに

レポートや論文を書くためには、他者の著作物からの引用が不可欠です。しかし、引用は、他者の研究成果等を利用する行為であるため、適切な方法で行わなければ、著作権法の違反にあたる可能性があります。引用を適切に行うことは、レポートや論文を書く際に守らなければならない最低限のルールであると言えます。では、引用を適切に行うには、どのようなことに気をつける必要があるのでしょうか。

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ヘルプログイン方法がわからない

目次

Topic01「引用とは」

引用とは、自分のレポートや論文などのなかで、他者の著作物(文章、図、表など)を用いることを指します。

「引用」をする際には必ず、どこから引用してきたのか「出典」を明示しなければならないとされています。これは、他者の著作物に書かれていることを自分のレポートや論文の本文中でそのまま用いる場合だけでなく、他者の著作物に書かれているアイデアやデータや方法を参考にした場合も同様です。

以下では、そもそも何のために引用をするのか、そして、なぜ引用のルールに従って出典を明示しなければならないのかについて説明します。

何のために引用をするの?

本を読む人

レポートや論文などを作成するうえで、他者の著作物を利用することは、不可欠だと言えます。その理由として、主に以下の3つが挙げられます。

1. これまでの研究をふまえる

学問・研究は、過去の研究の蓄積の上に成り立っています。研究者には、そうしたこれまでの研究(先行研究)をふまえること、そして、自身の研究がそれらのなかのどこに位置づけられるのかを明確にすることが求められます。自分の研究が、誰がいつどこで公表した研究をふまえたものであるのかを明確にするためには引用が不可欠です。

2. 研究の独自性を示す

引用によって、これまでの研究において何が明らかになっているのかを示すことには、次のような役割もあります。それは、他の研究との比較によって、自分自身の研究が、それらとどのような点で異なるのかを指摘し、どのような新しい知見を提供しているのかを示すことです。そうすることで、自身の研究のオリジナリティを明確にすることができます。

3. 根拠を挙げる、他者の考えを説明する

レポートや論文では、多くの場合、何らかの問いにたいして、自分自身の主張を論理的に導くことを目指します。そのために必要なことはさまざまですが、そのひとつに、「読み手も納得できるような根拠を挙げること」があります。そうした根拠を挙げるために、すべてを自分で考えたり、すべてを自分で実験して明らかにしたりする必要はありません。むしろ他の研究者の研究成果を用いることは、自身の研究の客観性を高めるために必要なプロセスであると言えます。その際に、自分が根拠として利用したのが「誰がいつどこに書いたもの」なのかを明らかにするために引用を行います。

さらに、レポートや論文などにおいては、自分自身の主張がもつ特徴や強みを明確にするために、他者の議論を紹介して、その議論を批判的に検討したり、自分の考えとの相違を明らかにしたりする場合があります。その際にも、「誰がいつどこに書いたもの」を自分が用いたのか明確に示すために、引用を行います。

何のために引用のルールがあるの?

パソコンと本を眺める女性

トピック02で説明するように、引用にはさまざまなルールがあります。なかには細かい決まり事もあるため、把握しきれないと感じられるかもしれません。しかし、そうしたルールは、目的があって設定されています。その目的を知っておけば、トピック02で説明するような細かなルールにも対応しやすくなるはずです。

引用のルールは、以下の2点を目的としたものであると言えます。

1. 自他の区別をする、他者の功績に敬意を払う

レポートや論文を書くには、先行研究を用いることが不可欠ですが、その際、どこが「自分の考え」で、どこが「他者の考え・他者の研究成果」であるかを、明確に区別して書かなければなりません。それは、他者の功績に敬意を払うためです。もし、どこが他者の研究成果であるかが分かるように書かなかったら、まるで自分がその成果をもたらしたかのように見えます。そうした行為は、他者の研究成果を盗んで自分のものにする「盗用(とうよう)」と呼ばれる不正行為にあたります。他者の功績に敬意を払い、その功績が正当に評価されるようにするためにも、引用のルールに十分な注意を払う必要があります。これは、学生を含めた研究者全員に最低限のこととして求められることです。

この自他の区別は、単に書き手である自分が分かればいい、というものではありません。重要なのは、読み手がそれを明確に区別できるような形で書かれていることです。そのための方法として定められているのが、引用のルールです。

2. 引用元を特定できるようにする

すでに述べたように、レポートや論文では、主張を導く際の根拠として、他者の研究成果等を用いることになります。これが意味するのは、根拠として用いられている研究や文献自体が信用に足るものでなければ、そこから導かれている主張もまた、説得力のないものになりうるということです。そのため、レポートや論文の読み手としては、書き手がどのような研究や文献を根拠として用いているのか(どこから引用しているのか、引用元)を確かめる必要があります。また、書き手が引用元である論文等を本当に適切に理解したうえで引用を行っているのかについて、読み手自身が、その引用元の論文を自分で読んで確認する場合もあります。こうした場合に、引用が適切に行われていれば、読み手が、そのレポートや論文で引用されていた文献などを探して、その内容を自分で確認することができます。

以上の2点から言えることは、引用する場合には、自分が書いたレポート・論文の「どこからどこまでの部分」が、「誰によって」、「いつ」、「どこに」書かれたものを用いたものであるのか、読み手に分かるように書く必要があるということです。

Topic02「実際に引用する」

ここでは、実際に、自分のレポートや論文のなかで引用をする方法について、引用方法の種類を整理したうえで、具体的に説明します。

引用方法の種類

引用には、大きく分けて2つの方法があります。ひとつめは、引用元の文献に書かれている文章を、一文字も変えることなくそのまま引用する「直接引用」という方法で、ふたつめは、引用元の文献に書かれている内容を、自分自身で要約して引用する「間接引用」という方法です。具体的な引用方法については、後で詳しく説明します。

1. 直接引用

直接引用は、引用元の文献に書かれている文章を「一文字も変えずにそのまま」自分のレポートや論文で用いる方法です。引用部分の長さに応じて、2つの引用方法があります。

a:短い直接引用
引用部分が短い場合、「」を使って、本文中に直接、引用部分を埋め込みます。そのうえで出典を明示します。

b:長い直接引用
引用部分が数行にわたる長いものである場合は、かぎ括弧を用いるのではなく、引用部分の前後を1行ずつ空け、引用部分全体を2文字程度字下げすることで、本文と区別します。そのうえで出典を明示します。

2. 間接引用

間接引用は、引用元の文献に書かれている内容を自分で要約して用いる方法です。その場合も、自分自身の文章と、他者の文献を要約した部分が区別できるよう、出典の明示や引用部分前後の表現の工夫などを行う必要があります。また、要約によって、著者の意図が誤って伝わってしまうことがないよう、細心の注意を払う必要もあります。

具体的な引用の方法

勉強する女性

引用の際に明らかにするべき「誰がいつどこに書いたもの」なのかといった情報を、レポートや論文に記述する際の形式(示す順番、用いる記号など)は、分野に応じてさまざまです。代表的な形式としては、シカゴ方式、MLA方式、APA方式などがあります。

実際にレポートや論文を書くときには、自分の分野ではどの形式が用いられているのか指導教員などに確認するようにしてください。特に定まっていない場合にも、論文を投稿する際には、投稿先の学術雑誌で引用形式等が指定されている場合がありますので、確認が必要です。分野による決まりや投稿規定による指定がない場合も、少なくとも、同一のレポートや論文のなかでは、形式が統一されている必要がありますので、どういった形式で書くか考えておく必要があります。

以下では、直接引用や間接引用をする際の具体的な方法として、戸田山和久(2012)『新版 論文の教室 レポートから卒論まで』(NHK出版、pp. 239–252)で紹介されている方法を参考に、簡略化された引用方法を紹介します。

短い直接引用

  1. 引用部分を「」でくくる。
  2. 引用部分の終わりに()を挿入する。
  3. ()内に、著者の姓、出版年、該当ページのみを記載する。
    例) 竹田 2012,p. 9
  4. 文献表に、文献の詳細情報を記載する(後述)。
<例>

長い直接引用

  1. 引用部分の前後を1行ずつ空けて、自分の文章から独立させる。
  2. 引用部分全体を2文字程度、字下げする。
  3. 引用部分の終わりに()を挿入する。
  4. ()内に、著者の姓、出版年、該当ページのみを記載する。
    例) 竹田 2012,p. 11
  5. 文献表に、文献の詳細情報を記載する(後述)。
<例>

間接引用

  1. 引用元の文献を、自分の言葉で要約する(著者の意図を変えないように注意)。
  2. 引用部分の前後の文章表現で、引用部分が明確に区別できるようにする。
  3. 引用部分の終わりに()を挿入する。
  4. ()内に、著者の姓、出版年、該当ページ(要約に用いた部分)のみを記載する。
    例) 竹田 2018,pp. 7–9
  5. 文献表に、文献の詳細情報を記載する(後述)。
<引用元の文献に書かれた文章>
<引用例>

※Word等ワープロソフトの脚注機能の活用
ここでは、脚注を用いない引用形式を取りあげましたが、引用形式のなかには、引用部分の終わりに脚注番号を挿入し、文献情報を脚注に記載する方法もあります。そうした場合には、Word等の「脚注機能」を使うと、脚注番号と、脚注を記載するための欄が自動的に表示されます。この機能を使えば、あとから脚注を追加する必要が生じたときにも、脚注番号が自動的に更新されるなど、脚注を作成する作業を効率化することができます。

文献表の書き方

「文献表」とは、レポートや論文を作成するにあたって利用した文献や資料について、詳細情報をリスト化し、本文の最後に載せたものです。(参考文献表、文献一覧、文献リストなどとも呼ばれます。異なる役割をもつものとして区別される場合もありますが、ここでは同じものとして説明します。)

文献表があれば、引用を行う際に、本文中には簡略化された文献情報のみを記載すればよくなります。読み手は、文献表を見て、その文献の詳細情報を得ることができるということです。また、文献が一覧になっていることによって、読み手は、その論文等が、どのような研究をふまえたものであるかを素早く知ることができます。

文献表の書き方もまた、分野や雑誌などによって異なります。指導教員に確認するとともに、自分の専門分野に合った形式について解説している本を手元に置き、いつでも確認できるようにしておきましょう。以下では、文献表の書き方の一例を紹介します。

書籍の場合

論文集に収録された論文の場合

雑誌論文の場合

以上は、前掲の戸田山(2012)で紹介されている方法に一部変更を加えたものです。

ウェブサイトの場合

※ウェブサイトからの引用の場合、そのページを閲覧した日を記載する必要があります。これは、ウェブサイトの情報は、閲覧後に、消されたり、修正されたりする可能性があるためです。

上記の例のように、文献情報の記載には、()〔〕「」『』、,。.などの、さまざまな記号が用いられます。どの記号を用いるかということや、情報を記載する順序にも意味があります。そのため、自分の好きなように記号を使ったり、同じ文献表内で、記号の使い方や情報の記載順序にばらつきがあったりしてはいけません。こうした記載方法の決まりには、分野によって細かな違いがあるため、文献情報の記載方法について解説している、自分の分野に合った本を参考にしてみてください。

※文献のコピーを取るときや、読書記録を取るときの注意点

このように、用いた文献や資料については、その詳細な情報を記載する必要があります。そのため、次のような状況に気をつける必要があります。たとえば、ある論文の一部を、自分の論文内で引用しようと考え、その部分のコピーを取っておいたとします。このとき、引用したい部分のページだけコピーを取ったのでは、その論文が掲載されている雑誌の号数や論文の掲載ページなどの詳細情報が分からなくなり、文献表を作るときに困ってしまいます。

文献のコピーを取っておくときや、読書記録として書き留めておくときには、同時に、文献表に記載すべき情報もすべて記録しておくと安心です。文献の正確な情報は、和書の場合、巻末の最終ページにある「奥付」に書かれています。コピーを取るときは必ず奥付のコピーもとるようにするとよいでしょう。

※どこまで文献表に記載するべきか

文献表を作るとき、自分が読んだ文献のうち、どこまで記載するべきか迷うかもしれません。たとえば、そのテーマについて大まかなことを知るために読んだ解説書も、文献表に入れるべきでしょうか。

この点について、たとえば澤田昭夫(1977)『論文の書き方』(講談社、p. 148)では、「論文の作成過程で間接に利用したに過ぎないものは文献表にいれない方がよい」 と述べられています。このように、単純に自分の理解を深めるために読んだ文献まで記載する必要はないかもしれません。しかし、たとえばあるテーマの全体像を自分の論文等の中で説明するために参考にしたものなどを含め、自分の記述に直接的な影響を与えている文献は、文献表に記載するべきだと言えます。

また、引用した文献だけでなく、文献表に記載したすべての文献について、必ず、本文中や注で、何らかの言及をしている必要もあります。場合によっては、参考にしただけの文献は、「参考文献表」に記載だけしておけばよい、とされることもあるかもしれません。しかし、それでは、本文中のどこが、その文献のどの部分に関わっているのか、読み手にはまったく分からなくなってしまいます。そのような方法では、他者の研究成果を不適切な形で利用したとみなされてもおかしくありません。(河野哲也(2018)『レポート・論文の書き方入門 第4版』(慶應義塾大学出版会、p. 77)でも、同様の指摘がなされています。)

たとえば、「以下の説明は、竹田(2018)を参考にしている」といった注を、本文の適切な箇所に付けるなどして、“文献表には挙げられているのに、本文や注に何も言及がない”ということが生じないように気をつけましょう。

研究データの引用

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Topic03「適切な引用であるためには」

ここまで、引用の方法と形式について説明してきましたが、引用形式に則っていればどのような引用も認められるというわけではありません。引用を適切に行うには、このほかにも守るべきルールがあります。ここでは、引用が適切なものであるための条件について、大きく3つの項目に分けて説明します。

必然性と主従関係に気を配る

引用は適切な形で行わなければならないというルールは、研究者としてのルールであるだけではありません。引用が適切に行われていない場合、著作権法の違反にあたる可能性もあります。

文化庁のホームページ「著作物が自由に使える場合」では、引用における注意事項として、以下の4点を挙げています(2020年3月19日閲覧)。

  1. 他人の著作物を引用する必然性があること。
  2. かぎ括弧をつけるなど、自分の著作物と引用部分とが区別されていること。
  3. 自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であること(自分の著作物が主体)。
  4. 出所の明示がなされていること。(第48条)

このうち、2と4については、これまでに説明してきました。以下では、1(必然性)と3(主従関係)について、もう少し詳しく説明します。

必然性:引用は、自分の議論の位置づけを示したり、根拠を示したりといった、明確な必要があるときに行うものです。他者の成果を無闇に利用することはできません。レポートや論文内で引用をしたら、その引用と自分の議論とのつながりを明確に説明できるかを考えるようにしましょう。

また、引用の際には、その目的にとって必要な部分だけを引用するようにします。関係のない部分が引用に含まれていると、読み手に混乱を与えることにもなります。必要のない部分は、「[……]」などの記号を使って、前略や中略をすることができます。

主従関係:引用は、自分の議論を補助するために行うもので、レポートや論文の主体は、あくまでも、自分自身の議論です。分量や内容に関して、引用部分が主体となってしまっては、もはや、それは自分の議論とは言えなくなってしまいます。「必然性」の観点とも重なりますが、引用を行う際は、自分自身の議論のために必要な補助として引用を行う、という意識をもつことが大切です。

著者の意図を変えない

間接引用についての説明でも述べたように、引用の際には、著者の意図が読み手に間違って伝わってしまうことのないよう気をつけなければなりません。間接引用をするときには、著者の意図を自分が間違いなく理解できているかどうか慎重に検討する必要があります。一方、直接引用は、著者の記述をそのまま用いる方法であるため、問題は生じないように思えるかもしれませんが、そうではありません。たとえば、引用部分の前後の文脈を無視して、自分に都合のいい部分だけを抜き出して引用するのは、著者の意図を無視した引用であり、不適切であると言えます。

孫引きをしない

「孫引き」とは、下の図で示した例のように、他者が引用した文を、その引用元のオリジナル文献を自分で確認することなく、そのまま引用してしまうことを指します。

これが問題である主な理由は、オリジナル文献からの引用であるBさんの文献が、本当に正しくオリジナル文献から引用しているか分からないからです。もしかすると、Bさんは引用するときに転記ミスをしてしまっているかもしれません。あるいは、Bさんの要約は、オリジナル文献を間違って解釈したものかもしれません。

オリジナルの文献を確認せず、誤りをそのまま引用してしまったら、誤った情報をさらに広げることになります。また、自分自身の議論も、誤った情報に基づいて組み立てたものになってしまいます。こうした事態を避けるためにも、可能な限りオリジナルの文献を確認することを習慣づけるべきだと言えます。

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