Outline
概要

センター長挨拶

 センター長写真現在、私達は、グローバル化や情報化の進展、少子高齢化などの社会の急激な変化に伴う予測困難な時代を生きています。社会が大学に求める役割は多様化・高度化し、大学教育が果たすべき役割は質的に転換したと言われています。このような状況の下、千葉大学は、知識基盤社会の中で生涯学び続ける力を備えた「考える学生の創造」を目的として、20114月にアカデミック・リンク・センターを設置しました。本センターは、教育活動・学習支援・コンテンツの近接による教育・学習支援の高度化という新しい概念「アカデミック・リンク」を提示し、様々な教育・学習支援の取り組みを進めてきました。

 20157月には、これまでの活動を発展させて、教育・学修支援の専門性を備えた人材養成に取り組むこととし、文部科学大臣により教育関係共同利用拠点「教職員の組織的な研修等の共同利用拠点《教育・学修支援専門職養成》」として認定を受けました。これを機会に「アカデミック・リンク教育・学修支援専門職養成プログラム」(Academic Link Professional Staff Development Program for Educational and Learning SupportALPSプログラム)を開始しました。教育関係共同利用拠点としては、その後も繰り返し認定を受け、現在は20273月末までの期間となっています。

 ALPSプログラムは、これからの大学に必要とされる新たな専門的職員として、「高度な実践力」と「体系化された関連知見」と「新しい教育の開発・企画力」を有する教育・学修支援専門職の確立と養成を行うことを目的とした研修プログラムです。これまで、研修会として年5回のALPSセミナーと年1回のALPSシンポジウムを開催するとともに、大学での教育・学修支援の専門性に必要な知識・能力を7つの領域、25の項目、180の行動特性から構成される能力項目と、領域ごとの水準を4段階で記述的に示した能力ルーブリックからなる「教育・学修支援の専門性に必要な能力項目・能力ルーブリック」を開発して、「教育・学修支援専門職」の職能を体系化・可視化するとともに、この能力項目・能力ルーブリックに基づいた体系的な研修プログラム(履修証明プログラム)を構築しました。2022年度には、ポストコロナの新しい教育の状況を反映させるべく、この能力項目・ルーブリックの見直しを行いました。その結果を踏まえ、2017年度から本格実施してきた履修証明プログラムについて、2023年度からは従来の枠組みのプログラムを残しつつも内容を一部変更するとともに、これと並行して従来よりも時間数が少ないコースを創設し、より多くの方に受講していただけるよう工夫しました。

 「学生の学びをどのように支援するか」は、大学教育の重要な課題であるにもかかわらず、各専門分野や各大学で事情が異なるという理由から制度化・体系化が難しく、長い間、職員の経験的に培われた知識やスキルに委ねられてきました。202210月に施行された改正大学設置基準においては、教育研究実施組織が教育の責任を担うことになり、また指導補助者という名称で教育・学修支援者が規定されました。指導補助者にはTASA等が想定されていますが、職員がこの役割を担うことも当然考えられ、またその研修は各大学に委ねられています。

 ALPSプログラムはこのような状況にも対応し、教育・学修支援の専門性の向上を目指す全国の大学に活用され、ひいては我が国の大学教育の質的転換と高度化の促進に資するものとなるよう、最善を尽くしたいと思います。

千葉大学アカデミック・リンク・センター長
竹内 比呂也

※「教職員の組織的な研修等の共同利用拠点《教育・学修支援専門職養成》」:平成27年7月30日から平成29年3月31日(平成27年7月30日付認定)
 「教育・学修支援専門職を養成する実践的SDプログラムの開発・運営拠点」:平成29年4月1日から平成34年3月31日(平成28年7月29日付認定)
 「新たな時代の大学教育を創造する「教育・学修支援専門職」養成拠点」:令和4年4月1日から令和9年3月31日(令和3年7月30日付認定)

ALPS(アカデミック・リンク 教育・学修支援専門職養成)プログラムとは...

 千葉大学アカデミック・リンク・センターは、教育関係共同利用拠点(拠点類型:大学の教職員の組織的な研修等の実施機関、認定期間:平成27年7月30日~平成29年3月31日(平成27年7月30日付認定)、平成29年4月1日~平成34(令和4)年3月31日(平成28年7月29日付認定)、令和4年4月1日~令和9年3月31日(令和3年7月30日付認定)として、文部科学大臣より認定されています。

 アカデミック・リンク・センターは、平成27年7月に教育関係共同利用拠点の認定を受けたのち、拠点事業で取り組む活動を「アカデミック・リンク教育・学修支援専門職養成プログラム」(Academic Link Professional Staff Development Program for Educational and Learning Support:ALPSプログラム)と称し、大学における新しい専門的職員である「教育・学修支援専門職」の確立に向けて取り組んでいます。
 その内容として、大学の教育・学修支援の専門性を体系化・可視化するために「教育・学修支援の専門性に必要な能力項目・能力ルーブリック」の開発に取り組むとともに、教育・学修支援の高度化を図るための研修会(セミナー・シンポジウム)を開催してきました。さらに、実践的SDプログラムとして履修証明書を発行する体系的な教育プログラムの構築を進めています。
 アカデミック・リンク・センターが養成する「教育・学修支援専門職」は、大学教育の質的向上を進めるために、現在、中央教育審議会等でその必要性が議論されている大学における「専門的職員」のあり方に対する千葉大学による具体的提案です。

アカデミック・リンク・センターは、現在、教育関係共同利用拠点として下記の取り組みを推進しています。

①「教育・学修支援の専門性に必要な能力項目・能力ルーブリック」に基づく履修証明プログラムの構築と運営
②教育・学習支援の専門性を高める研修プログラム(セミナー・シンポジウム)の実施
③教育・学修支援の全国拠点としての情報発信と教育・学修支援専門職によるネットワーク形成の推進

ALPSプログラム全体構成

(※1)大学教育の質的向上を図るために、電子的学習資源の製作、共有化を促進し、また学習・教育において著作物を最適に利用できる環境を整備するための取り組みを行っている大学間コンソーシアムです。

(※2)千葉大学大学院人文社会科学研究科は、平成29年4月に、人文公共学府に改組しました。改組にともない、人文公共学府修士課程人文専攻のなかに、大学における教育・学修支援者の養成に特化した「大学教育・学修支援コース」を設置しました。

(※3)現在、ALPSプログラムの修了者を中心とした、大学における教育・学修支援を職務とする方による「教育・学修支援専門職能団体」の組織化を推進しています。このためのプラットフォームとして、「CEREAL」という団体が発足し、専門職としてのネットワーク形成と相互研修に向けた検討を進めています。 CEREALホームページはこちらをご覧ください。

※教育関係共同利用拠点制度については、
文部科学省 「教育関係共同利用拠点の認定について」をご覧ください。

運営委員会

 千葉大学アカデミック・リンク・センターには、ALPSプログラムを運営するために「教育・学修支援専門職養成部門運営委員会」を設置しています。この委員会は「教育関係共同利用拠点の認定等に関する規程【平成21年8月20日 文部科学省告示第155号】第2条第3項」に基づくものとして、拠点事業の運営と教育・学修支援専門職養成部門の活動に関する重要事項を審議するものです。

教育・学修支援専門職養成部門運営委員会規程

(2023.4.1現在)

山田 礼子
(同志社大学 社会学部教授)
杉谷 祐美子
(青山学院大学 教育人間科学部 教授)
篠田 道夫
(桜美林大学大学院大学アドミニストレーション研究科 前教授、日本福祉大学 前学園参与)
池田 輝司
(公益財団法人 日本国際教育支援協会 専務理事)
銭谷 眞美
(公益財団法人 新国立劇場運営財団 理事長)
工藤 潤
(公益財団法人大学基準協会 事務局長)
伊勢崎 奈津子
(立正大学 学事部 部長、CEREAL代表)
竹内 比呂也
(千葉大学副学長、附属図書館長、アカデミック・リンク・センター長)
檜垣 泰彦
(千葉大学アカデミック・リンク・センター副センター長)
國本 千裕
(千葉大学アカデミック・リンク・センター 副センター長)
森 一郎
(千葉大学アカデミック・リンク・センター 副センター長、附属図書館 事務部長)
岡田 聡志
(千葉大学アカデミック・リンク・センター 兼務教員、国際未来教育基幹 准教授)
白川 優治
(千葉大学アカデミック・リンク・センター兼務教員、国際学術研究院 准教授)

平成27年度の活動