「学振」に応募する
- 動画
このページでわかること
- 「学振」とはどのようなものか
- 応募に必要な準備と考えておくべきこと
- 研究申請書の書き方
はじめに
大学院生になると、研究に関連したさまざまな出費が増えていきます。研究のための時間を確保しながら、生活や研究のための資金を得るためのひとつの方法として、研究助成に応募する、という選択肢があります。大学院生が研究助成に応募するのは、特別なことではありません。たとえば日本学術振興会の特別研究員(DC1、DC2)には、在学年数などの条件を満たせば、博士前期課程(修士課程)2年次から申請が可能です。このセミナーでは、学術振興会特別研究員への応募を例に、申請書の書き方についてお話しします。
実際に学術振興会特別研究員申請書を書く際には、千葉大学IMOが公開している、
も併せてご覧ください。
なお、こちらの「特別研究員(DC・PD)申請書作成ガイド」は学内ネットワークにつないだ端末からのみダウンロードできます。
この動画は、2019年度に開催されたセミナーのもので、令和2年度(2020年度) 採用分を想定した内容になっています。
令和4年度(2022年度)採用分の申請では、「研究者としての資質や将来性」により重点を置いた評価を行う方針で、審査方針や申請書様式に以下のような変更がされています。
審査方針
・特別研究員-DC1、特別研究員-DC2、特別研究員-PD、特別研究員-RPD
(1)自身の研究課題設定に至る背景が示されており、かつその着想が優れていること。また、研究の方法にオリジナリティがあり、自身の研究課題の今後の展望が示されていること。
(2)学術の将来を担う優れた研究者となることが十分期待できること。
(3)特別研究員-PDについては、博士課程での研究の単なる継続ではなく、新たな研究環境に身を置いて、自らの研究者としての能力を一層伸ばす意欲が見られること。
(4)特別研究員-PDについては、やむを得ない事由がある場合を除き、大学院博士課程在学当時(修士課程として取り扱われる大学院博士課程前期は含まない)の所属研究機関(出身研究機関)を受入研究機関に選定する者、及び大学院博士課程在学当時の学籍上の研究指導者を受入研究者に選定する者は採用しない。※ 研究機関移動の要件について、研究機関移動と認められるか否かは採否の重要な判断基準となります。詳細は募集要項及び後述「Ⅱ 特別研究員-PDの受入研究機関等の選定について」をご覧ください。 (日本学術振興会「特別研究員の選考方法」https://www.jsps.go.jp/j-pd/pd_houhou.html[2021年6月10日閲覧])←この字下げをしているところは、グレーの文字(今のと同じ感じ)でお願いします。
また、評価項目は、2021年度採用分では
- 「研究者としての資質」
- 「着想およびオリジナリティ」
- 「研究遂行能力」
の3項目だったものが、
- 「研究計画の着想およびオリジナリティ」
- 「研究者としての資質」
の2項目に変更されています。
申請書様式
申請書に記載する各項目の構成が大きく変更されています。
大きな変更点としては、申請者が、自身の強みを記入する項目や、研究者としての今後の発展のために必要な要素を記入する項目など、申請者が自分自身を深く分析する必要のある項目が追加されました。
「目指す研究者像」の項目は、DCの申請者のみの項目だったものが、PDの申請者にも記載が求められる項目になっています。
そのほか、研究計画を書く項目が細分化されていたものが、「研究計画」の項目にまとめて記載する方式に変わっています。
この他にも細かな変更点があります。必ず、募集要項等に関する最新の情報を確認してください。
※当日のセミナーでは、講師による講義の後、参加者同士が相互に添削しあう演習を実施しました。専門分野が異なる人にも理解できるような書き方になっているかをチェックする機会としても、このセミナーを利用することができます。(セミナーの情報はこちらから)
大学院生になると、研究に関わる物品の購入費用や、学会参加費(交通費や宿泊費や学会の会費など)、論文投稿費、研究会参加のための交通費など、さまざまな出費が生じます。他方で、研究時間を十分に確保し、研究に専念する時間をとることも必要になります。
そのため、研究や生活のための資金をどのように得るかということは、大きな問題になりえます。そうした資金を得る方法のひとつとして、さまざまな機関・団体等が提供する研究助成に応募する、ということが挙げられます。
動画内でも触れているように、文系・理系を問わず、さまざまな分野の大学院生が共通して応募できるのが、「日本学術振興会特別研究員」(通称:学振・がくしん)です。主に博士(後期)課程の院生と、博士の学位取得後5年未満の研究者が対象となっており、たとえば博士後期課程1年次から採用されるためには、博士前期課程2年次(4月頃)の段階で応募することになります。
※日本学術振興会とは
応募には、研究計画書(これまでの研究成果や、これからの研究計画などをまとめたもの)と、研究指導者などからの評価書を提出することが必要です。主にそれらの書類をもとに、日本学術振興会が審査を実施します。
※制度の詳細や具体的な募集要項、提出書類の書式などについては、日本学術振興会のHPで確認してください。
特別研究員に採用されると、
- 研究費と研究奨励金が交付・支給され、研究に専念できる
- 採用経験自体が、研究者の経歴として高い評価につながる
など、さまざまなメリットがあります。
採用のハードルは低いものではありませんが、研究を続けたいと考えている場合には、申請を検討するとよいでしょう。まずは指導教員等に相談してみてください。