古歌僊楓集(伊藤伊兵衛(政武))
伊藤伊兵衛政武(五代)による三編の手稿本楓集。それぞれ36品、36品、28品の楓の葉を彩色で原寸大にうつし、品種名、特徴、名の由来となった和歌を記す。例えば、「小倉山」ならば、定家の「小倉山 しぐるるころの 朝な朝な きのうはうすき 四方のもみぢ葉」といったように。図と記載と歌とのバランスがよく、読んで楽しむ本となっている。なお、こちらの三十六品種は「増補地錦抄 巻之四」中にも紹介されている。
俳諧季寄図考草木(梅枝軒来鶯)
俳諧で取り上げられる景物のうち、主として植物を月ごとに単彩のやわらかな筆使いで描く。わらびは萌え出た姿、イタドリは芽、ニラやニンニクは根という様に、句を詠む者の視点で描かれている点が本書の特徴である。藍刈(あいかる)、間引き菜等も載せられて風雅とともに生活との関連で植物が取り上げられている。
三都一朝 上(成田屋留次郎)
入谷の朝顔師成田屋留次郎がまとめた朝顔の優品の図譜。彩色図88点を収め、京・大坂の花も含む。「葉の色+葉の形+花の色+花の形」で朝顔の名をあらわし、花合わせでは、それぞれの変異の度合いと組み合わせの妙を競い合う。掲載花は、牡丹咲きで茶色や鼠色等、渋い色の花がもてはやされた時代を反映している。
花壇朝顔通 下(壷天堂主人)
変化朝顔の最初の流行は文化5、6年ころの江戸で始まり京・大坂に広がる。本書はその流行を受けて大坂で初めて刊行された朝顔書である。葉・花色・模様などにより180余品を分類し多色刷りの花の図に和歌または俳句を添える。鉢植えや水盤、花瓶に挿した朝顔の図も収められ当時の朝顔の鑑賞法を知ることができる。
金生樹譜別録 中(長生舎主人)
巻1は、盆鉢、台、鉢置き棚、室(むろ)など盆栽用品を載せる。尾張、伊万里、染め付け、山水鉢、あさがお盆、蘭盆、万年青鉢、海舶将来盆と、産地、用途、模様、かたちの異なるさまざまな鉢を図示する。盆栽を飾る棚と飾る場所の例や室の作り方も示される。巻2は、高砂の松や六角堂柳など、各地の松、柳、梅の銘木が描かれ、伝承や木の形状等自由に記される。歌が添えられる事もある。巻3は繁殖法・道具類・培養土についての記述で、道具類には採集用の野山篭がふくまれ、山採りが園芸の一部であったことを伝える。
新歌僊楓集(伊藤伊兵衛(政武))
伊藤伊兵衛政武による三編の手稿本楓集。それぞれ36品、36品、28品の楓の葉を彩色で原寸大にうつし、品種名、特徴、名の由来となった和歌を記す。例えば、「小倉山」ならば、定家の「小倉山 しぐるるころの 朝な朝な きのうはうすき 四方のもみぢ葉」といったように。図と記載と歌とのバランスがよく、読んで楽しむ本となっている。
江戸期以来の我が国の園芸の発展・変遷をたどる上で重要な園芸書のコレクション。江戸時代に変種栽培が流行した朝顔をはじめ、花菖蒲・楓などの様々な品種を描いた美しい彩色図譜を収蔵する。花菖蒲を改良し約300種を作出した松平定朝の自筆本「花菖培養録草稿」などの貴重書を含む。
日本の園芸文化史を研究していた岩佐亮二千葉大学名誉教授(IWASA Ryoji,1915-2003)の収集資料を核とする。