センター長ご挨拶

千葉大学アカデミック・リンク設置10周年を迎えて

竹内センター長

 十年一昔,という。

 2012年3月に千葉大学アカデミック・リンクは開設記念式典を行った。そのちょうど1年前の東日本大震災の影響を受けて工期に遅れが生じ,年度内ギリギリのオープンとなった。工事の進捗状況によっては建築中の建物に甚大な被害が出たかもしれなかったが,大きな被害はなかった。不幸中の幸いというしかなかった。我々には守ってくれる人がついていたと思う。

 オープンに向けて椅子や机が入る直前にコンセプトビデオの撮影を館内で行った。撮影のために館内を歩きながら「とんでもないものを作ってしまったのかもしれない」と体が震えた。10年経った今でもその時感じた恐れは拭い切れてはいない。本当に我々の挑戦が成功したという自信はない。もし成功したと言ってもらえるとしたら,それはアカデミック・リンクに関わってきたすべての人,教職員だけではなくのびのびと使ってくれた学生たちのおかげである。

 かつては30年を一世代と言っていたが,今や一世代10年である。アカデミック・リンクは第二世代に入ろうとしている。第一世代は「コンセプトブック」に沿って実践を積み重ねてきた。それが高く評価されたとしても,第二世代には彼らのための新しい指針が必要である。新しい酒は新しい皮袋に盛れという。そうしなければ,我々がこれまでに学生の姿を通して学んできた多くのことを活かすことはできない。

 たかが10年,されど10年。支えてくださったみなさまに改めて感謝の気持ちを込めて。

千葉大学副学長,附属図書館長,
アカデミック・リンク・センター長,
大学院人文科学研究院教授
竹内 比呂也